リスクマネージメントの基本

2011年4月11日

東日本大震災から1ヶ月が経過しました。

おそらくは、日本人が記憶している中でも戦後の焼け野原になっている姿に次ぐ、災厄であり、国難と言えると思います。

この1ヶ月の間、政府や東京電力の原発事故への対応を見ると、リスクマネージメントの面で非常に大きな不安、不満を抱かざるを得ません。

 

まず、リスク管理の基本として、「事故は起きない」ことを前提としてはならず、「どれだけ万全の防護策をとっていても、事故は必ず起きる」という前提で、「起きた時の対応」を考えていなければなりません。

自動車の運転をするにあたって、自分は絶対に事故を起こさないと思っていても、もし、万が一に備えて、基本的な対応方法の教育は受けているし、保険にだって加入する。

飛行機だって、落ちないことが前提でも、毎回非常時の対応についてのアナウンスがある。

 

それが、リスク管理の基本です。

ところが、話を聴いていると、事故発生後の対応についての検討が十分ではない様に見えます。

 

その上で重要なことが、「ダメージコントロール」という考え方。

被害が発生した際、できるだけ早期に「ここまでは仕方がない」と見切りをつけ、それ以上には絶対に拡大させないという姿勢が必要です。

山火事が発生すれば、延焼を防ぐため、周囲の木を切ります。

江戸の火事では、家を壊して、これ以上燃えないという範囲を先に決めたと言います。

これをやることによって、ダメージの最大値を最小化するわけです。

 

今回の原発においては、こうした考え方が欠如していないか?と思います。

事故が発生すれば、まずは大きな網をかけて、数十キロの範囲で今日せい的に避難を実施。

状況が理解できるにしたがって、その範囲を狭くしていく。

 

ダメージコントロールの考え方からすれば、そうした手法が基本だと思いますが、今回はその逆になっています。

徐々に広がったり、徐々に基準が厳しくなっている。

これは、ダメージをいたずらに拡大するだけです。

 

さらに、機器対応の基本は、初動で集中的に戦力を投入することです。

チマチマと逐次投入すると、十分な戦力活用ができず、ダメージが拡大する。

報道を見る限り、この点でも今回の原発対応にはこの考え方で行動しているとは思えません。

 

また、非常時における指揮命令、情報集約と広報については、強力な権限をもった人、または、組織に集約させるのが必要です。

そうでなければ、現場だけでなく、関連する周囲も大混乱します。

混乱すればするほど、対応が遅れ、被害が拡大する。

 

強力な権限をもった人に、あるいは、能力のある人に強力な権限を持たせて、徹底的にやらせる。

広報もバラバラに行うのではなく、そうした権限のある人の指示、命令によって行う

これが基本になるのに、いろんなところから、内容の異なる報道が行われ、何が本当なのか?がわからない状態で、いたずらに不安を煽ってしまった様に思います。

 

最後に、「覚悟」です。

「全責任をもって、これ以上、絶対に被害を拡大させない」

そうした覚悟をトップが持ち、それを示すこと。

これがなければ、事態が深刻であればあるほど、問題は複雑化、長期化、深刻化します。

 

政府トップにその決意を感じることができたか?

東電トップからそれを感じることができたか?

 

現場で戦っているみなさんの並々ならぬ決意は伝わってきます。

本当に頭が下がる。

でも、その組織の責任ある立場の人からそれが伝わらないのはなぜだろう?

 

雪印の消費期限偽装問題では、まさにこの一点によって、会社がつぶれたと言ってもいいでしょう。

ジャパネットたかたの個人情報漏えい問題では、この一点によって、会社が評価されたと言ってもいいでしょう。

 

当社においても、こうした事例を今一度検討し、自分たちに置き換えて非常時の対応、体制に備えておきたいと思います。

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